故ダイアナ妃の祖先デヴォンシャー公爵夫人の華麗でスキャンダラスな実話を映画化、衣装はアカデミーの衣装デザイン賞を受賞した注目作品「ある公爵夫人の生涯」の主役を演じた、キーラ・ナイトレイ、公爵を演じたレイフ・ファインズの、インタビューが届きました!
■キーラ・ナイトレイ
Q.架空の人物と実在した人物では、演じ方は変わりますか?
そうですね…
演じるキャラクターが、実在しても、実在しなくても、特に違いはないわ。
ただ実在の人物を演じる場合、その人の経歴や色々な設定をもとに演技するのが楽しいわ。
知りうる限りの情報を駆使して、役作りするの。そうは言っても、簡単ではないわ。
ストーリーには複数のエピソードがある。そのなかで役の一貫性を保たないといけない。
ただ伝記に目を通すと、何万通りにも解釈できる。彼女の行動には理解できないものもある。
だから、伝記からの情報は取捨選択しないとダメ。
私が役作りでいつも大切にするのは…リアリティを与えること。
その人物が架空であろうが、存在しようが同じことよ。
今回 チャッツワースの屋敷で撮れて良かったわ。
彼女が実際に住んでいた家の中を歩き回って、当時の暮らしぶりや、起こった出来事に思いを馳せた。
じかに雰囲気を感じられてすばらしい経験だった。
Q.彼女は歴史上の、セレブリティですが現代のセレブと比較するとどうですか?
彼女は数え切れないほど、さまざまな魅力を持っていたわ。
ファッションリーダーで政治的にも強い影響力を持ち、まさに当時を代表するセレブね。
いろいろと書かれ追い掛け回され、うわさされ、「パパラッチ画家」によって服装をイラストに描かれて、
新聞に載ったりした。
そういうセレブリティ文化は現代的現象かと思ってたけど、実際は何百年も前からあったなんて、興味深いわ。
Q.この作品での衣装の重要性とは?
衣装は大切なポイントよ。
ファッションリーダーとして名声を得た彼女だからこそ、撮影に使う衣装は、重要な役割を担っていた。
デザイナーのオコナーの貢献は計り知れないわ。
資料や絵から彼女が当時着たと思われる、多くの衣装を、再現してくれた。
実際以上に良くしてくれたと思う。
これは私の解釈だけど、無防備で、この上ない孤独感に苦しんでいた彼女は、どうしても着飾らざるを得なかったんじゃないかしら。
ファッションによって、理想の自分像を創り上げ、それが功を奏して彼女は人目を引くようになる。
大きなスカートと高いウィッグが、彼女を文字通り大きく見せる。
苦境を乗り切る一つのテクニックだったのよ。想像だけどね。
Q.ウィッグは大変でしたか?
びっくりするほど重かった。
仕組みがすごいのよ、鳥カゴみたいな感じで。内側に金属がありそれを髪が覆っているの。
あるウィッグは、高さ60センチに60センチの羽根が乗り、頭で支えるのが不可能な重さ。
親切なスタッフが見かねて作ってくれた木製のスタンドで支えて休憩をとったの。
おかげで首の崩壊は免れたわ。
Q.現代のセレブリティの話が出ましたが、マスコミとの距離の取り方にコツみたいなものは何かありますか?
私自身 知りたくないのよ、スクリーンに出てくる俳優のプライベートをね。
作品のイメージを壊しかねないわ。
Q.その点 あなたは好例ですねメディア露出は要らない?
もちろん必要な時もあるわ。
今や 私たちの日常は、映像やメディアの情報であふれている。特定の映画の存在を知ってもらうのは至難のワザ。
だから自分から呼びかけないと“こんな映画よ、見に来て”って。
でも知られすぎると幻滅されて、作品は台無し。例えば 私が無茶苦茶な結婚生活をしていたり、薬物依存症だとして、
同じような作品で私を見たら、興味も失せるでしょ。
映画を楽しむためには、俳優個人について知りすぎない方がいい。
■レイフ・ファインズ
Q.今回の役のまず何に惹かれましたか?
公爵という役で、まず魅力を感じたのは、彼が感情を出さない抑圧された男だったこと、実際は物語が進むにつれ彼の感情も見えてくるけどね。
それから、彼が夫婦関係を築こうとする過程、最初は絶望的なほど不仲だった妻と最後には理解しあう過程が僕には感動的だった。
その相手がキーラなら演じたいと思うさ。
Q.公爵は冷たく感情がないと言いましたが観客を共感させるためにどういう役作りを?
彼に感情がないわけじゃない。当時の文化と言うべきか…
感情は出すべきと誰もが考える。例えば政治家の演説でもそうだ。あのヒラリーが泣けば人は驚く、“彼女にも感情が?”当たり前さ。公爵の時代では、“男は感情を見せるべからず”と思われていた。
男は決して気持ちを表に出さない。
男に必要なのは、礼儀正しさや快活さ、文筆、乗馬、狩りの技術。議会での演説能力などだった。
確かに公爵の場合は、極端なケースだったがね。でも感情はあるんだ。僕はそういう人は好きだ。
感情的に不器用な男たちには、なぜか憧れを感じるね。
Q.私も同感です。今回の衣装やロケは新たな経験に?
大きな経験だった。特に衣装の面でね。歩き方、座り方、もたれ方に影響する。そでにレースがたくさんあると、食べ方も変わる。
つまり当時の社会では、服によって自分の体を豪華に美しく飾り立てる文化だったんだ。それを理解しないとね。
衣装担当のオコナーと協力し、服を着ていくのは楽しかった。おかしいかもしれないが、白いスカーフが気に入ってた。
身が引き締まる感じがしてね。
ロケに使った屋敷はどれも、当時に建てられたものだ。その空間にいるだけで、当時の人間になった気分だった。
Q.物語と現代との関連性は?
男と女、結婚人間関係について、性別を越えていかにお互いが歩み寄れるか、当時に作られた文化などは今では残っていないがね。
コミュニケーションの物語だね。
Q.キーラが言っていたのですが“当時からセレブの文化があったことに驚いた”と彼女自身の役もそれに深く関わっていますが
そうだね。
むしろ当時のほうがセレブらしさが求められた。
今の時代では人々はセレブの過激な行動を期待しているところがある。それが刺激をくれるからだ。
それだからゴシップ番組が人気を集める。
そうすることでセレブの弱みを公(おおやけ)にしていくわけだ。そういう時こそ礼儀や品位が問われてくるんだ。
当時のセレブ文化において重要視されたのは、機知(ウィット)やスタイル…身だしなみなどもそうだが、特に機知が一番大切だったと思う。
ユーモアのセンスや表現力、トータルな人間性こそがセレブの条件だった。
余裕があればファッションも大事な要素だ。
それも芸術だった。
歴代の王太子のなかに、ジョージ四世という人物がいた。彼はアメリカ独立戦争の時代に王となった男で、その息子がしゃれ者だった。衣食ともに派手な生活を送った。だが良くも悪くも彼が文化の形成を担った。
ジョージアナは彼のことを“女のように着飾った”と。少し過激ではあった。だが彼は文化を育てた、自ら芸術や音楽、ファッションなどを楽しみ、発展させたのさ。
映画「ある公爵夫人の生涯」特集!!
4月11日(土)、Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマ、
新宿テアトルタイムズスクエア他全国ロードショー

公式サイト
http://koushakufujin-movie.jp/